
こうした疑問を抱える患者さんは少なくありません。
IBDは、潰瘍性大腸炎やクローン病といった慢性の腸の炎症を引き起こす疾患の総称です。近年、治療法は進歩していますが、その原因については今も研究が続けられています。
この記事では、炎症性腸疾患(IBD)の原因として今わかっていること、発症メカニズム、そして治療や検査の必要性について、わかりやすく解説します。
炎症性腸疾患(IBD)とはどんな病気?
炎症性腸疾患(IBD)とは、腸管に慢性的な炎症を引き起こす疾患群のことです。
主に以下の2つが含まれます。
潰瘍性大腸炎
大腸の粘膜に炎症や潰瘍が広がる疾患
クローン病
口から肛門までの消化管のあらゆる場所に炎症が起こる疾患
いずれも10代後半から30代での発症が多く、日本でも患者数は年々増加しています。
IBDは下痢や腹痛、血便、体重減少といった症状を引き起こし、生活の質に大きな影響を与えます。
現代ではIBD治療の進歩により、寛解状態(症状が落ち着いた状態)を維持することが可能になっていますが、再燃を防ぐためにも原因解明は重要な課題です。
炎症性腸疾患(IBD)の原因は一つではない
IBDの原因は、いまだに完全には解明されていません。
しかし、現在考えられているのは「複数の要因が重なり合うことで発症する」という説です。
以下の3つが主な要因として挙げられています。
遺伝的要因
IBDは家族内での発症が多いことから、遺伝的背景が関与していると考えられています。
特にクローン病では、遺伝子異常が発症に強く関わっていることが示されています。
一方で、遺伝だけで病気が決まるわけではなく、同じ家系でも発症しないケースも多く、他の要因が重要です。
環境要因
食生活の変化(高脂肪・低繊維食)、喫煙、ストレス、抗生物質の使用、腸内細菌叢(腸内フローラ)の乱れなど、環境要因が発症に関与するとされています。
特に腸内フローラの変化が、免疫システムを刺激し、異常な炎症反応を引き起こすと考えられています。
免疫異常
IBDでは、本来体を守るはずの免疫が、腸内の無害な細菌や自分の腸粘膜を攻撃してしまうという「免疫の誤作動」が起きています。
この免疫異常が、慢性的な炎症を引き起こし、潰瘍や腸管の障害へと進行します。
なぜ炎症が止まらないのか
近年の生物学的研究では、以下のようなプロセスが解明されつつあります。
・腸粘膜のバリア機能が弱くなる
・腸内細菌が粘膜下に侵入
・免疫系が過剰に反応し、持続的な炎症を引き起こす
・炎症に伴うサイトカインや活性酸素が腸の組織を傷つける
この悪循環が続くことで、腸管の狭窄や潰瘍、穿孔といった深刻な合併症に至ることもあります。
IBDと関連する病気や症例
IBDは単独で現れることもあれば、他の病気や症状と関連する場合もあります。
・関節炎、皮膚疾患(結節性紅斑など)、目の炎症といった全身症状
・腸管狭窄による腸閉塞
・長期的には大腸がんのリスク上昇
こうした関連症例では、早期の検査と適切な治療が重要です。
炎症性腸疾患(IBD)の検査について
IBDの診断には、以下の検査が行われます。
大腸内視鏡検査
腸管の炎症や潰瘍、狭窄を直接確認
血液検査
炎症反応や栄養状態の評価
画像検査(CT・MRIなど)
小腸や腸管周囲の状態確認
炎症性腸疾患の原因解明が難しい理由
IBDの原因は一つではなく、複雑な因子の組み合わせが背景にあります。
そのため、「この要因がIBDの責任だ」と断定することが難しいのです。
・同じ環境下でも発症する人としない人がいる
・同じ遺伝的背景でも症状や病型が異なる
・環境や腸内細菌叢は個人差が大きい
・こうした多様性が原因解明を難しくしています。
原因を知り、正しい検査・治療を選ぶことが大切です
炎症性腸疾患(IBD)の原因は、現時点では「遺伝」「環境」「免疫異常」が複雑に絡み合った結果とされています。
患者さん一人ひとりで発症のきっかけや症例は異なります。
だからこそ、信頼できる医療機関で正しい検査を受け、病気の状態や治療方針をしっかり確認することが必要です。
IBDは適切な治療で寛解を目指せる疾患です。
今後の研究の進展とともに、より原因に迫った治療が期待されています。
便通異常や腹痛が続く場合は、早めの受診を検討しましょう。
福岡市東区香住ケ丘の「酒見内科胃腸科」
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