下痢や血便、腹痛といった症状が続く「潰瘍性大腸炎」。
治療を続けていても、なぜ炎症がぶり返してしまうのか、疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
今回は、潰瘍性大腸炎で炎症が起こるしくみと、近年注目されている「IL-23」というたんぱく質の役割について、できるだけわかりやすくご紹介します。
潰瘍性大腸炎とはどんな病気か
下痢や血便、腹痛、便意切迫感(急な便意を我慢しづらい状態)などの症状が現れ、症状が落ち着く「寛解」と、悪化する「再燃」を繰り返すことが特徴です。
10代後半から30代で発症することが多いとされていますが、近年は発症年齢の幅も広がっています。
免疫のバランスが乱れることで炎症が起こる
潰瘍性大腸炎の原因はまだ完全には解明されていませんが、本来は体を守るはずの「免疫」の働きが過剰になり、自分自身の腸の粘膜を攻撃してしまうことが関わっていると考えられています。
免疫のアクセルとブレーキのバランスが崩れることで、炎症が続いてしまうのです。
過剰に働く「Th17細胞」と炎症性サイトカイン
免疫細胞のひとつであるヘルパーT細胞は、置かれた環境によって「Th1」「Th2」「Th17」など、いくつかのタイプに変化します。
このうちTh17細胞は、炎症を引き起こす複数のたんぱく質(炎症性サイトカイン)を放出し、腸の粘膜にダメージを与えることが分かってきました。
潰瘍性大腸炎では、このTh17細胞が過剰に活性化している状態がしばしば見られます。
注目されている「IL-23」というサイトカイン
Th17細胞への変化を後押しする物質のひとつが「IL-23」というサイトカインです。
IL-23の働きが過剰になると、Th17細胞が増えやすくなるだけでなく、炎症を抑える役割を持つ「制御性T細胞」の働きも低下してしまうことが研究で示されています。
つまりIL-23は、炎症にアクセルをかけると同時に、ブレーキを緩めてしまう二重の影響を持っていると考えられています。
近年、この炎症性腸疾患の病態研究の進展にともなって、IL-23の働きに着目した治療薬の開発も進んでいます。
治療の考え方 ― 炎症のスイッチを抑える薬
これらの薬剤は、免疫のどの部分に働きかけるかによっていくつかのタイプに分けられ、IL-23の働きを抑えるタイプの薬もそのひとつです。
それぞれの患者さんの病状や治療歴に応じて、適した薬剤を検討していくことになります。治療薬の詳しい種類については、別のコラムで改めてご紹介します。
まとめ:気になる症状があれば早めのご相談を
潰瘍性大腸炎は、免疫のバランスの乱れによって炎症が続く病気であり、その背景にはIL-23をはじめとするさまざまなサイトカインが関わっています。
下痢や血便、腹痛などの症状が続く場合や、治療を続けていても改善を実感できない場合は、一人で抱え込まず、消化器内科専門医にご相談ください。
※本コラムは病態理解を目的とした一般向け情報です。特定の治療薬の効果を保証するものではなく、治療方針は症状や検査結果に応じて医師が個別に判断します。
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