クローン病(CD)
クローン病とは
クローン病はIBDの一つであり、「口から肛門までの消化管全てにおいて、どの位置にも炎症や潰瘍が起きる可能性がある」という大きな特徴があります。
潰瘍性大腸炎同様に、明確な原因は解明されておらず、国の指定難病とされています。
日本国内での患者数は7万人ほどで、男女比では男性の方が発症率が高く、女性より約2倍多いと言われています。
クローン病の症状
クローン病も、潰瘍性大腸炎と同じように下痢や腹痛が現れます。
しかし潰瘍性大腸炎よりも強い痛みを感じることが多い点や、関節炎や皮膚症状といった消化管以外の問題を併発することもクローン病特有の症状です。
クローン病は炎症が起こる範囲が広く、小腸だけ、大腸だけ、小腸・大腸の両方、それ以外の場所という4つのパターンに大きく分類されます。
また、炎症が発生する場所によって症状にも違いが見られます。
クローン病と「痔」
クローン病と診断される方の中には、痔がきっかけとなるケースがあります。
クローン病を患っている日本人の患者さんは痔瘻や肛門周囲膿瘍など、肛門の病気を発症することが多いためです。
「重い痔だと思って受診したらクローン病であることが発覚した」という方もいらっしゃいます。
痔瘻は、通常の切れ痔やいぼ痔と違って放置していて治癒することはありません。
いずれにせよ治療が必要な病気なので、早めにご相談いただけたらと思います。
受診いただくことで、本当の病気に気づけるかもしれません。
クローン病の検査・治療
クローン病の検査
クローン病の検査は、主に血液検査と便の検査、内視鏡を用いた検査、レントゲン検査などを行います。
血液検査
炎症の有無や貧血の有無、栄養状態を確認します。
また、寛解期は良好な状態を維持できているかの検査を行うためにも用いられます。
便検査
1~2日分の便を採取し、便に血液が混じっていないかを検査します。
また、他の病気との差別化を行うためにも行います。
内視鏡検査
クローン病は消化管のどの部分でも起こり得る病気です。
そのため、大腸や小腸であれば大腸カメラを、体の上部で異変があると見受けられる場合には胃カメラを用いて炎症部分の特定、診断を行います。
X線造影検査
X線造影検査を行うことで、炎症の正確な位置や範囲を確認できます。
クローン病の治療
クローン病の治療は、潰瘍性大腸炎同様に「寛解」を維持していくという方法がメインとなります。
寛解とは症状が落ち着き、日常生活を難なく送れる状況を指します。
寛解を維持する方法としては栄養療法や血球成分除去療法、薬物療法、外科処置などがあります。
栄養療法
クローン病治療では、腸管を刺激しない低脂肪の食事をおすすめします。
必要に応じて鼻からチューブを通して直接腸に栄養剤を注入したり、血管から栄養を注入したりすることもあります。
血球成分除去療法
血液中から異常な働きをする免疫細胞を取り除きます。
免疫細胞が一箇所に集まると強い炎症につながる可能性があるため、それらを予防するための方法です。
血球成分除去療法は患者さんの負担が少なく、効果的な治療方法として注目されています。
薬物治療
免疫の調節を行うお薬や、腸の粘膜で起こる炎症を抑えるためのお薬など、炎症が起こっている部位やその度合いに合わせてお薬を使用していきます。
外科治療
クローン病による合併症の中には腸閉塞や腫瘍、大量出血など大きなリスクとなるものもあります。
そういった状態が見られる場合には、外科的な治療を用いることがあります。