コラム

IBD患者さんの日常生活を彩る会 第2回交流会(大阪)

9月13日にIBD患者さんの日常生活を彩る会 第2回交流会に参加してきました。

この会はIBD患者さんが不安なく学校や職場に通い、趣味を楽しみ、ご家族と共に笑いあえるといったあたり前の日常を取り戻せるように活動している会になります。

患者さんとの交流の機会を設けて、直接患者さんのお困りごとや困難なことについて専門医と分かち合っていくことが特徴になります。

 

今回、初めてこの会に参加させて頂きました。

前半では著名なIBD専門医の先生が最近のIBD治療を中心にご講演をされ、後半ではIBD患者さんを交えて少人数でのスモールグループディスカッションを行いました。

 

私はクローン病患者さん方を対象としたグループディスカッションのファシリテーターをさせて頂きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IBD患者さんは日常生活において何にお困りでしょうか?

まず上がってきたのが就労に関してです。就活中の患者さんが病気のことを伝えるべきかどうか悩んでおり、またクローン病なので仕事の内容を選ぶべきかどうかを悩んでいました。
既に仕事をしている患者さんからは職場には伝えており、伝えることで病院にも行きやすいし調子の悪い際には在宅ワークができており配慮を頂いていると言われていました。

ただし職場での飲食の場において食べられるもの、避けているものがあることを伝えるのは大変であることもお話されました。

そうなんです、職場におけるIBD患者さんのお困り事で上位にくるのがこの飲食に関する困難であることが報告されています。脂肪制限など食事に留意して生活されていることを社会に知って頂くことも今後の課題かと思います。

その食事についてですが、経腸栄養剤であるエレンタールは必要とわかっていてもなかなか飲むことが難しく、一日一本しか飲めない患者さんが多いこともわかりました。

味がおいしくない、アミノ酸の臭いがきついことが理由でしたので企業の方々には受け入れ易い味や臭いになるように開発をして頂きたいと思います。

 

そして排泄に関して困っていることが話題になりました。便意切迫感によってすぐにトイレに行きたくなり不安になることが多いことや臭いに関して困っていることも話題に。

臭いについては携帯用の消臭スプレーやトイレに数滴落とすだけで臭い対策ができる物があるようでそれらを用いて対応されていました。ドラッグストアで探してみたいと思います。

知らない土地に行く際には事前にトイレの位置を確認されている方もいました。

 IBD治療に対する不安

この数年間、IBD治療薬剤は毎年のように新薬が出てきました。これらの新薬はとても有効性が高いため、患者さんの状態が落ち着いていても主治医の先生が現在の治療薬剤から新しい薬剤に変更することがあります。主治医の先生は新しい薬剤に変更することで患者さんの腸管にある潰瘍、炎症を抑えることを期待して変更していました。

でも患者さんはどう考えるでしょうか?患者さんは新しい薬剤を使用されることで、本当はとても悪くなっているのではないか?重症度が高くなっているのではないか?と不安になっていました。

私達が良かれと思って治療を変更することが患者さんの不安に繋がっていることもある。

治療を変更する時にはしっかりと変更する意図を伝えることが不安軽減につながるのではないかと改めて考えさせられました。

 IBD患者さんの前向きな未来 -妊娠、出産を含めて-

今回のグループディスカッションでは若い女性の患者さんが多くいましたので今後の結婚や妊娠についての不安もありました。

結婚については結婚前に発症した際に結婚相手となるパートナーに迷惑をかけたくないとの思いや、結婚後に発症した後もどのようにパートナーと共に困難を乗り越えていくのかも課題として上がりました。妊娠については病気が落ち着いている寛解の状態であれば、安全に安心して妊娠を継続できる可能性が高いことから主治医とよく相談して妊娠、出産に臨んで頂きたいと思います。

 

IBDは難病です。未だに根治薬はありません。けれどこの10数年で多くの治療薬剤が開発されたことで劇的に病気をコントロールすることが可能となり、患者さんのQOLも飛躍的に改善されてきました。

今回、多くの患者さんの生の声を聴くことができました。患者さん方はお困り事や困難がありながらも日常生活をしっかりと歩まれており、社会も病気に対する理解を深めたことでIBD患者さんが生きやすい生活になってきたのではないかなと思います。

また今回のグループディスカッションに参加頂いた患者さんの中に医大生がいました。

クローン病を発症したためIBDの研究がしたくて医学部に入り、今回の会にも参加して患者さんの声を聞いていました。是非、病気の原因解明と根治療法を見つけて欲しいと思います。

“困難な中に患者さんの未来は明るい”

その様な思いにさせて頂いたIBD患者さんの生活を彩る会 第2回交流会でした。

とても勉強になりました。参加頂いた患者さん方ありがとうございました。

この記事の監修医師

さけみ内科・内視鏡IBDクリニック 医師

医師 酒見 亮介

経歴・資格・所属学会

  • 日本内科学会 総合専門医
  • 日本消化器病学会 専門医、九州支部評議員
  • 日本消化器内視鏡学会 専門医
  • 日本消化管学会 胃腸科専門医、指導医
  • 日本炎症性腸疾患学会 学会員
  • 日本消化器病学会 学会評議員
  • 日本消化器内視鏡学会 九州支部評議員
  • 日本炎症性腸疾患学会 専門医、指導医

受賞歴

  • 2014年 胃と腸 年間最優秀症例賞受賞
  • 2019年 日本炎症性腸疾患学会 学術集会ポスター優秀賞 AOCC、UEG travel grant取得
医師 酒見 亮介

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〒813-0003 福岡県福岡市東区香住ヶ丘3丁目3−13
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